『茶の味』

渋谷シネマライズにて19:05より観る。
映画を観に行くかどうか、予告を観て結構判断しがち
なんですが、茶の味はどうも…何とも言えないような
鼻持ちならない印象を抱いたので、足がなかなか
動かなかった。
監督は『鮫肌男と桃尻女』の石井克人氏だという。
『鮫肌男〜』は、正直言って好きじゃない。


でも結構周りの評判がいいんですよね。
で、観ないで頭っから判断しちゃダメだなーと
思って観てきたわけです。


んで、どうだったかというと…。
う−ん、どうしても観てる間中「違う」って感じが
抜けなかったです。
なんか、俺年食ってるんだか知らないけど
若さで安易に意表突いたことをやられると
「ケッ」ってなっちゃう。
頭から電車ですか。やりゃいいってモンなのか。


現代人は五感のうち視覚に頼っている割合が
非常に高いわけで、胡散臭くはあるけど、
視覚の刺激にばかり慣らされていると
想像力が衰えてくるのは確かだと思う。
「あらゆる妄想をも視覚化するためにこそ映画がある」
ですか。うーん、なるほど。
じゃその妄想というのは、万人が共有する妄想でなきゃ
いけないのか。
想像力で補う余地があるからこそ、同じ作品でも
受ける印象が人によってバラバラなんであって、
それがあらゆる作品の存在意義ではないのか。
鮮明で画一化されたイメージしか与えない映像表現の
危惧はここにあると思う。
だから、この時代にああいう演出をするのは
反骨でもなんでもない。
安易に流されているに過ぎないんじゃないか。


笑うシーンも沢山あるんだけど、正直笑えなかったな。
劇場も若い人ばっかだったし、皆笑ってたけど。
俺、テレビ観てないせいもあるかわかんないけど
笑いに厳しくなってるかもしんない。
笑いって、んな安易なモンじゃダメですよ。
リアリズムの宿』を観ても思ったけど、
映画の笑いにお茶の間的、というかテレビ的な笑いが
近頃侵食してきてるような感じがする。
それでウケてるんだから俺がとやかく言えることじゃ
ないけど、近頃の笑いはどうも空虚さっていうか、
なんか、嫌なモンを背後に感じ取っちゃうんだな。
こんなことを言い出すと完全にジジイだが、
ファミレスでバカ笑いしてる女子高生の笑いは
本気で不快だ。
くだらねえことで笑ってんじゃねえよって思いませんか。
見るべきものに直面しようとせずに、その場しのぎの
ために、一瞬でも多く快楽に逃げていたいために
お笑いが流行るんじゃないかと。
俺はそんな空虚な笑いだったらしたくないし、
笑うべき時にだけ心底笑いたい。
人様々だし、どうも俺のほうが周りと違うのだから、
俺がバーカと言われてお終いだけど。


散々こきおろしたけど、描いてるものは
多分いいもんなんだと思います。
そこでもやっぱり共感はできないけど、それは
単に俺が客観性を保たない上での話だから割愛。
ああ、俺最近柔軟なつもりなのに。
ちょっと自信をなくしました。