名曲喫茶。

帰り、高円寺の名曲喫茶ネルケン」に
連れてってもらった。
俺はこういうちゃんとした名曲喫茶は初めて入りました。
名曲喫茶といえば、前髭虫に借りた嶽本野ばら
『カフェー小品集』を思い出す。
ああいう文学的世界が広がっていくのも頷けるような
現実社会から隔絶された空間。


夜10時の客は我々だけ。
真紅のカーテンに、アンティークと呼ぶのも
差し出がましいような、年季を感じさせる古びた机。
そして百年前から飛び出してきてしまったような
今時見たこともない位に礼儀正しく腰の低い
老齢のマダム。(あるいは女主人?)
大正時代にタイムスリップしたような錯覚すら覚え、
現代の服装をした自分らだけがこの空間から
浮いているように思えて妙な感じだった。


前O下が来たときはバロック音楽が掛かっていた
らしいけど、今日掛かっていた音楽はショパンとか
ドビュッシーとか、知識のない自分も聴いたことのある
音楽が多かった。


高円寺には「ネルケン」の他にあと一軒あるらしい。
簡単にインナー世界に埋没してしまえるので、
世智辛い日々に疲れきって現実逃避したい
アナタにはオススメ。