Design Festaに関して。

http://www.designfesta.com/index.html
Nintendo DSの帰りに行った、いわばアート版コミケとでも
言うようなイベント。
年に2回やっていて、今年で20回目になるらしい。
西ホールいっぱいに所狭しと広がる各ブース。
ライブをやっていたり、寸劇をやっていたり、屋台が出ていたり、
雰囲気的には美大系の学祭そのものといった感じ。


まあまず主催側に言うとすれば、入場料は取るなということ。
入場料を取るならそれなりにちゃんとしたパンフレットを
用意するべきだ。
パンフレットの出来栄えからも主催側のモチベーションの低さが
よく伝わってくる。
「アート」と断った上で入場料を千円もぎ取っていく根性が
なんだかこう無性に気に食わない。誰の専売特許だよ?
出展料もべらぼうに高い様子だし、まあ随分な金になるんだろうな。
若者の自己実現という夢につけ込んで商売するなんて最低だ。


ただ出展側は皆それぞれに自分の世界を展開していて、
フィルターが通っていない割にどれも一定のレベルを保っていた。
ああこういう世界もあるんだなというのが率直な感想。


あえてひとつ断っておけば、俺は「アート系」とでも括れるような
ものには非常な胡散臭さを感じます。
まあそれはアートに限ったことではなく、「〜系」と言える何かに
依存して自分の存在をそこに見出して安心してしまう
全ての人間に対してそうなわけだけど。
そういう意味では俺にとってオタクも自称アーティストも
ギャルも最近のヤンキーも全部同じに見えます。


何かをする際、それに打ち込めば打ち込む分だけ、心のどこかで
「ああ、俺恥ずかしいな」という気持ちを持たないとダメだと思う。
「ああ、俺アートぶっちゃってカッコ悪いな」という。
自分が型にはまって、それをことさら自慢しているという態度は
とっても醜いもんだ。少なくとも俺にとっては。
そういう意味で、入場する時に(ああ俺殺気立っちゃうかもな)と
にわかに不安を覚えました。


だけど、そんなひどい感じはなかったのが実際のところでした。
スネークマンショーの『増殖』のショートコントじゃないけど、
「良いものは良い、だけど、悪いものは悪い」という感じで。
どっかで見たような絵柄のものや、自意識ばっかり先走ってる
ものがやっぱり圧倒的に多かった印象はあるけど、
確実に琴線に触れるもんはありました。
やっぱり俺の場合、オブジェに頼るんじゃなくて全体の色とか
パッと見の印象で揺さぶってくる方が好きみたい。


全部は見切れてないけど、一番よかったのが
シシドリュウジさんのイラスト。
http://www.geocities.jp/ryuji_shishido/
これはほんと好きですわ。
gypsophileのアルバムのジャケットを思い出したけど、
少ない色数と整った色調だけで平面にべたっと描いてるんだよね。
アイディアだけなら誰でもやれることなんだろうけど、
持っている世界観が圧倒的に良いと思った。
自己顕示がなくって、受け手に開かれてる。
色数の少ない世界から観賞者が無限に世界を広げられる。
これは、ほんとイイ。


ポストカードを3枚買って、ついでにシシドリュウジさん本人に
置いてあったCDのことを尋ねた。
ケンモチヒデフミという人が作ったアルバムにジャケだけ描いたという。
「僕の絵の雰囲気にばっちり合う音楽をつけてくれたんです」と
はにかみつつも自信があるようで興奮気味だ。
この雰囲気はとてもイイです、と誉めると混じり気のない感じで
嬉しそうにする。まっすぐな人なんだろうな。


http://www.geocities.jp/tangent_records/
ケンモチヒデフミさんは実際に出展していて、CDもそっちで
売っているらしく、ブースの場所を尋ねて行ってみる。
スピーカーで音を出していたけど、これがまた本当に
絵の世界が先にあったのかイラストの世界が先にあったのか
わからない位にジャストではまっているサウンド
イラストと同様、主張がなくて聴き手に委ねられた懐の広い音。
情景的に、シシドリュウジさんの空の突き抜けた青を連想させる。
しかもこの人は、ギター、ベース、シンセ、打ち込みに至るまで全てを
一人でこなしているらしい。
それでいてかなりのテクニック。まだ23歳。異才だ。
でもこれがまた気さくそうな兄さんで、2、3言ばかり口を利く。
とても普通な人で、健全な自意識を持っている感じ。
じっくり前に出したCDも聴かせてもらって、結局新しく出した
今回のと、両方買った。
500円と800円のところ、2枚で1000円でいいなんておまけするので笑った。


他にも色々と見て回って、結構惹かれるのもあったけど、
純粋にすごいな〜と思ったのはこの二人でした。
結構企業が声をかけたりとか自由にあるみたいで、
俺もちょっとジャーナリズムを刺激されるような感じあって、
この場では作り手と作品が一緒に存在しているわけだから、
いいなと思った人たちをインタビューして回ってるだけで
一冊面白い本が作れるな、なんて思ったりした。


何か違う発想を取り込みたいと思ったら悪くないイベントかもしれません。
せめて入場料がフリーになってくれたらいいんだけど。