9月号のインタビュー。

詳細はあまり書かない(書けない)けど、
うちの雑誌の9月号では自分のやったインタビュー記事が
4頁(うち、4色2頁)で巻頭をバーンと飾った。
今までで一番良い仕事をしたと思えるので嬉しい。


あまり表舞台に出てくる機会のない職人の生き様を
紹介するコーナーで、本来は1ページの連載なんですが、
インタビューをしたところ3時間に渡る
あまりに壮大なエピソードが聴けてしまったため
急遽4ページに枠を増やし、大々的に取り上げることにした。


このインタビューをするたびに俺は
己の無力さに愕然として、ぶちのめされます。
人の人生には途方もない情報量があるんだよ。
ある人物を研究しようとしたら、世界中の学者が
100年かけて研究しても追いつかない。
人ひとりの人生の情報量は宇宙より遥かに
膨大だと思います。


そして、その情報は決して語られることなく
その人の胸にしまわれたまま闇に葬り去られる。
今この瞬間にも人類は貴重な英知や、
宝石のような夢や感動、語られないエピソードを
どんどん失っているんですよ。
それを思うと俺は焦りと無力さを感じて
やりきれなくなります。
全人類の伝記が作れたら素敵なことだと思う。


怒涛の勢いで失われていく貴重な話の数々を
ほんの少しでもすくい上げ、世に出すというのは
それだけでも価値があるんじゃないかと思う。
75歳の語る人生ってのは並の話じゃなくて、
「リアリズム」を崩されます。
安吾の言う「突き放される」体験だと思う。