『アラキメンタリ』@渋谷ライズX。

写真家荒木経惟ドキュメンタリー映画
ラヴィス・クローゼというアメリカ人が
荒木の写真に感動して、ついに映画を撮ってしまった
というものです。
北野武ビョーク森山大道、果ては麿赤兒なんかが
出ててびっくりしたけど、こういった色んな著名人の
インタビューを通して荒木経惟の実像に迫っていく。
DJ KRUSHの音楽もうまく使われていて、歯切れのいい
見せ方がよかった。
荒木経惟という人間を分析、解き明かしていくというのが
主題だから、多少なり本人や作品に興味がないと
辛いかもしれないけど、マニアックすぎないので入りやすい。


武が「相当な恥ずかしがり屋」だと言っていたけど、
確かに、なかなか弱いところ見せない人という感じがある。
「男が泣き言言っちゃいけないんだよ、そういうキモチは
一人でしまって、シャッター押して忘れちゃうんだよ」
ということを、荒木本人が言ってるシーンがあって
いいなあと思った。男の子なんだなー。


あと印象的だったのが
「カラーでエロスをやって、モノクロームで死をやる」
っていう住み分け。これ単純だけどすごいシャープな物言い。
俺もはやくエロスに行きたいなあ、人撮りたい衝動が
ふつふつきてるけど。


荒木の写真のよさについては、やっぱりエッセンスに
なってるのは情の深さだと確認した。
ヌードを撮っていても、醜い部分も、そこから見えてくる
嫌な過去も汲み取って撮るようなことを本人が言っていた。
情が深くないと、他人の内面に入り込めないとそこまで
できないでしょう。
人間の弱さや滑稽さや、そういうのもひっくるめて
抱きしめちゃうような包容力。
山新宿荒木展でもそれはひしひし感じた。
これが森山大道だと、被写体になった時点で人も看板も
同じになっちゃう。
他人との接し方がまさに現れるところだと思うけど、
俺は悔しいけど荒木にはなれないなあ。
それが今日一番強く思ったこと。
荒木の人間との接し方、あの被写体に近づいていける感じが
ちょっと真似できない。悔しいねえ。
奥さんを撮ったという写真集はぜひ見てみたいです。