黒澤明『生きる』

juriano2005-08-02

yoshiiの影響で最近黒澤映画をようやく観出した。
今んとこヒューマンドラマ系ばっか観てるけど。


『生きる』はすごい映画でした。
役所勤めの忙しさの中で生きることの意味を失った男が、
自分の死期を悟って初めて生を掴むというお話。
主題がアメリカン・ビューティーに近いけど、こちらの方が
寓話性が高いので、一本筋の通った死生観に共感できるか
どうかで評価の分かれる映画だと思う。
アメリカン・ビューティーのよさは、登場人物全員に同じ
割合で注がれてる人間愛だと思うんだけど、
こっちはもう少し突き放している。


どですかでん』を観ても思ったけど、黒澤って
相当冷え切った視線を持っているよね。
もちろん、同じ位暖かみもあるんだけど。
最後、主人公の生の輝きが認められたにも関わらず、
役所の体制は一向に変わっていなかったり。
劇画性は高いんだけど嘘が全くない。


コテコテな位デカダン風の小説家がよかったです。
文学部生的にステキと思ってしまいました。
あと「命短し恋せよ乙女」は良い詩だね。