『アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶』

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写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンドキュメンタリー映画
荒木経惟ファンとしては、すごく観たい。
写真とは、現実における自分と相手との関係性を複写することだと
言い続ける荒木はこの写真家に強い影響を受けているのです。


どんな分野の表現においても、現実と観念の二元性というものがあります。
大雑把に言って、他者と関わることが現実を志向して、
孤独に向き合うことが観念を志向しているといえます。
写真は、これが最も分かりやすく反映される表現と言ってよいと思います。
観念的になっている人は、風景の写真ばかり撮ります。
現実に目を向ける人は、人間の写真を撮ります。


知らない人にカメラを向けるのはとても難しい、
カメラを撮っている自分を自意識しないとならないから。
「なんだこいつ、勝手に写真撮りやがって」という
目線を送ってくるでしょう、しかしそれが現実における
相手とのありのままの関係性なのです。
皆どうしてもそこに蓋をしてしまう、社会のなかに自己を
位置づけることを放棄してしまう。
それは観念的になっているからだと思うのです。
現実に対峙しようとしている表現者は、極端に少ないと思います。
荒木の凄みはその辺りにあるのではないでしょうか。