『裸の夏』@青山シアター・イメージフォーラム。

juriano2008-02-16

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http://www.imageforum.co.jp/theatre/index.html
先週末の土曜、久々に髭虫とサシで映画を観ました。
彼とはしょっちゅう遊ぶワケでもないんですが
大抵、濃ゆい時間を過ごしてしまうのは、
彼独特の嗅覚がそうさせるのか。
彼とサシで映画を観たというのは恐らく
けものがれ、俺らの猿と』('00)以来
だったのではなかろうかと思う。
ナント、、、8年も前なんですよ奥さん。
オレも年喰ってんだナァ。


そんな標記の映画は例外なくコアな代物なんですが、
舞踏家、麿赤兒率いる大駱駝艦の舞踏と
その思想を志す若者たちが長野の大自然の中で行った
夏合宿を追うドキュメンタリー映画
大駱駝艦について知ってたことといえば、
全裸&全身白塗りでピクピクするということと、
暗黒舞踏と呼ばれている、程度の知識だった。
つーか、桜玉吉の漫画を通じて知ってただけだった。
漠然とそんな素敵舞踏を垣間見てみたいねと
意気が合い今回髭虫と観ることになったのです。


ああいった特殊な舞踏をやっている人を観ると
初めから、キちゃってる人なのかしらとつい先入観が
入ってしまいますが、今回の映画はドキュメンタリーなので
踊り手の素顔が観れて大変惹きつけられた。
この夏合宿自体、普段普通の生活をしている一般人が
希望して毎年集まってくるもので、
彼らは学生やフリーター、主婦といった
普通の人々です。
それが一週間という短期間で麿赤兒色に染め上げられていく
様子が大変に見事でした。
疲労の限界を超えて透き通っていく美しさ、みたいな
意外とスポ根的な素直な作品かもしれません。


麿赤兒の講義もちらっと出てくるんですが、その思想も
とても面白かった。
意思が身体を動かすのではなくて、身体と身体の間にある空間
(間=魔=神)が身体を動かすという考え方。
また、「舞踏の採集」という発想。
日常の中に転がっている踊り、動作を拾い上げて
舞踏として昇華していくという考え。
例えば、足にトゲが刺さったその瞬間の動き。
トゲを抜こうとする動作は、もうすでに意思が
入っているので美しくない。など。
何か、普段音楽について考えていることと
近かったので嬉しかった。
やっぱ美はジャンルを問わず必然の中に潜んでいるのだ。
美しく出そうとして出した音は美しくない。
出さざるを得ずに出す音が美しい。


本番は白馬の大自然の中、全身白塗り&金箔で演じます。
男女とも、全身素っ裸で股間に申し訳程度のスレスレパンツを
身に着けているだけ。
キワモノメイクだけど全身金箔ぬらぬらで、
結構エロチックだと思います。
そんなので男女入り乱れて絡み合って。
あの衣装で立っちゃったらやばいんじゃないか。。。
と、終了後髭虫に言ってみると
「立つワケねェだろ?本番でそれどころじゃネェーんだボケ」
とキレられてしまいました。


観終わった感想は、
大駱駝艦の実際の公演を観たい!とゆーことと、
夏合宿に参加した人々への軽い羨望の念。
あれ、確実に人生観変わると思うな。
ある意味臨死体験みたいなモンなんだと思う。
価値観の臨死体験というか。
映画前のトークショーでも言ってましたが、
舞台って宗教に近いんだーと実感した。
座長という絶対的存在がいて、
演じる誰もがその世界観に支配されて、
染め上げられていく。
バンドとは大分違うなーと思う。
羨ましいと思うし、ならではの美しさがあるな。
麿赤兒という強烈な個性に支配されて、
頭髪も眉毛も剃り落として、全裸で思うままに
身体を動かすという体験。
ものスンゴイと思うよ。
オレも会社辞めたタイミングで参加してみたい。