「I LOVE HONZI バイオリニストHONZIに捧ぐ」早川義夫+佐久間正英+HONZI

juriano2008-10-07

発売前から、早川氏の日記等で情報を辿るうち
これはただごとでないアルバムだな〜
これを聴くまでは死ねないな。
と思っていた作品。


発売日前日、病院に行くため会社を定時で上がり
兎にも角にもまずはユニオンへダッシュした。
診察時間に間に合うぎりぎりだったから。
転げながら 転げながら 走り続けたのさ。


この作品は2007年9月27日に急逝した
バイオリニストHONZIに捧げられたライブ盤です。
メンバーは
早川義夫佐久間正英HONZI
早川氏と佐久間正英氏はCesChiensというユニットも
組んでいまして、佐久間氏の職人的なギターが
早川氏の歌とピアノにねっとりと絡んできます。
そして、HONZIのバイオリン。
人の弱い心を突いてくる、さりげなくて
独特な不思議なバイオリン。
裏ジャケに寄せている早川氏のコメントの通りだ。


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HONZIの音は、テクニックを披露するような音楽とは違う。
やさしい音なのに初めて聴く音だった。
意外な音なのに奇をてらうわけではない。
かすかな音もよく聴こえ、激しい音もうるさくない。
常に歌を生かし、自分を主張するというより、降りてくる音を受け止め、奏でているだけのようだった。
悲しみと優しさに包まれている、たましいそのものだった。
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またこのアルバムは早川氏のボーカル作品としても
ベストの出来ではないかと思います。
全音楽キャリアを通じて最も研ぎ澄まされているであろう
「現在の」早川氏のライブにおける歌声が
まずは真空パックされたことに安堵してしまう。


選曲もたまらんセレクトです。
サルビアの花」「からっぽの世界」が収録されているのも
もちろん嬉しいわけですが、近作が特に素晴らしかった。
「君でなくちゃだめさ」「パパ」は
これが完成形ではないかと思う出来です。
「僕らはひとり」のサビでHONZIのコーラスが
被さってきたときに泣けた。
「暮らし」は、前新宿ゴールデン街のライブで初めて
聴いて、なんていい曲だろうと思ったのですが
今回収録されてめちゃくちゃよかった。
鎌倉での穏やかな暮らしを綴った歌が
どーしようもなく泣けるのはどういうことか。
素晴らしく美しい曲です。
「I LOVE HONZI」はHONZIの死の直前の
ステージなのだそうです。
歌になって、永遠の存在になってしまった
ことを思うと暗示的な曲。
魔法のかかった曲です。


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HONZIの音ってシンプルでいいね」と言うと、「シンプルが一番むずかしいもの」と言った。
もう、逢えないわけではない。
HONZIに話しかければ、HONZIは笑ってくれる。
これからも、きっとそばで見守ってくれる。
見えないもの、聴こえないものが音楽なんだということを僕はHONZIから学んだ。
HONZI、ありがとう」。
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こんなに優しく、透き通っている美しい作品が
あるだろーか?いやない。
早川氏の音楽を聴いてこなかった人にも
キョーレツにお勧めしたい。


早川義夫サルビアの花」

↓Ces Chiens「身体と歌だけの関係」(Live, 2004)

Honzi's World「ひこうき」Live フィッシュマンズのカバー。泣ける!