道。

juriano2011-09-15

フェデリコ・フェリーニの名作「道」を久々に観る。
何度観ても最高だ。観るたびに好きになる。
多分こういう作品は何年かおいて観ると
感じ方もその都度変わってくるんだろうね。


粗暴で乱暴な大道芸人ザンパノに二束三文で買われた
頭の弱い女、ジェルソミーナは
言われるがままに芸を仕込まれて、巡業する。
ジェルソミーナは心を寄せた綱渡りの男に
「私は不細工だし料理もできないし、何の役にも立たない。
もう生きてるのがいやになった」と言う。
綱渡りの男は応える。
「こんな石ころだって何かの役に立ってる。
これが無益だと言うならすべて無益だ。
お前だってザンパノにとっては何かの役に立つんだろう?」
・・・


男の身勝手さ、女の従順さを描いた
嘘のないオリジナルなドラマ。
ジュリエッタ・マシーナ演じるジェルソミーナの愛らしさ、
粗暴な男が人間愛に目覚めるラストシーン。
オレがいまさら語ってもどうということはないですが、
淀川長治御大が愛したのも納得のすごい映画。


余談だがこの映画のテーマは
「神の愛は信じぬ者にも及ぶ」だそうだ。
そう言われると登場人物に
罪深い人間や神のモチーフを見つけられるが、
カトリックの人たちが感じるであろう切実さは
日本人には直感的に通じにくいように思う。
むしろ宗教観や時代性を超えて迫ってくる
シンプルで力強い男女のドラマとしてオレは好きです。