日記。

俺の仕事は業界誌の編集者ですが、
早い話が業界の金魚の糞のような存在でして、
業界の話題を少部数で記事に取り上げては
広告というオコボレを喰らって延命する
不思議な生物なのです。
割合ヤクザな稼業だと思います。


業界がいい状態の時は大変ボロいのですが、
業界が貧している時は
広告という餌がこぼれてこないので
飢餓状態は必至。
広告を出稿してもらうためには基本何でもするので
純粋にメディアというよりは何でも屋さんであったりします。
靴でも雲固でも食いまっせ!!
スポンサーサービスとフェアな発信者としての
立場を問われる場面が少なからずありますが、
兎に角、広告がないと業界誌は死滅します。
その辺りの覚悟が不足している新規雑誌は
確実に1、2年で休廃刊する。


しかし、俺はもう8年やっていますが
未だにこの業界誌という代物自体の
存在意義には疑問符が拭えないので
淘汰されるなら仕方ないかなという気もします。
必要悪というか、見方によっては身体に良い寄生虫というか、
とにかく業界誌ってそういう代物です。多分。
儲かっている業界には似たような新聞雑誌が
ヒルのように複数くっついているので、
指標にもなります。


散々ケチョンケチョンに書きましたが
取り扱っている中身がコアでニッチな分、
一般メディアが取り上げない話題を
編集者の裁量ひとつで掘り下げることができる。
俺のつくっている本では不定期の職人インタビューがあって
これなどは意義があると思う。
市井の職人の生き様を辿るページで、
人しれず技術を追求する職人の生き様は
極めてストイックで、個人的に感動を覚える。
ミュージシャンのあり方ともすごく似ている。
映画で観たロドリゲスのような人たちが
職人の世界にはゴロゴロいる。
そして知られていないのだ。
ホワイトカラーの人間は大雑把に言えば、
直感的な判断がつかないタイプの馬鹿が多い。
俺はこのテの馬鹿が嫌いだ。
職人は学歴はないけれど頭が良いひとが多く、
人間としてバランスを欠いている人も多いけど、
スジが通っていて、好きだ。
結果的に8年も席を置いてしまっているのは
何となく彼らに引っ張られているからのような気がする。
と、4000字インタビューを脱稿して思う。