トキワ荘のドキュメンタリー番組。

リンクが飛んできたので
観始めたら全部観てしまった、
トキワ荘のドキュメンタリー番組(とても古い)。



ナレーションが藤子A不二夫。
トキワ荘解体の前に行われた同窓会のもようなど。
手塚先生もご存命。
ううむ。みんな若い…。
そういえば、トキワ荘の映画では、
藤子F不二夫を演じていたのは
若かりし阿部サダヲなんだよね。
確かに、はにかむ感じがちょっと似ていると思う。


森安なおや氏と寺田ヒロオ氏のその後が、
観ていて痛ましすぎた。


森安氏は叙情的な漫画の名手だったんだけど
志半ばで筆を折って、肉体労働など
職を転々としながら暮らしていて、
トキワ荘無頼派と呼ばれていた人。
でも本人はひそかに、誰にも知られずに、
11年かけてコツコツと作品を描いていたんだよね。
それを出版社に持ち込むんだけど、
結局は出版されずに終った。
だけど、作品に対する志はトキワ荘
誰よりも高いのが映像から伝わってくる。
本質的に芸術家肌の人だったのだと思う。
そんな森安氏の人生を思うと切ない。


寺田氏も、漫画表現ということに対して
極めて強い意識を持っていた人だと思う。
雑誌「漫画少年」が体現していた
「漫画は子どものためにあるもの」という
信念を貫こうとするがゆえに、
過激な表現が氾濫する漫画業界と
ソリが合わなくなり、やはり筆を折ってしまう。
インタビューでは、かつての仲間である
トキワ荘の人間に対しても
不信感を抱いているようなニュアンスの発言もあり、
完全に孤立してしまっているのが分かる。


なんか、両氏の生き方に対する態度が、
他人事には思えず、実に痛いっす。
しかし、寺田氏がいなければ、
森安氏が欠けても、
トキワ荘というコミュニティーはあり得なかったし
優れた漫画家を輩出しなかった可能性もある。
普段光の当たらない、舞台裏をちょっと紐解くと
底知れないブラックホールが空いていて、
打ちのめされます。