塚田努『だから山谷はやめられねえ−「僕」が日雇い労働者だった180日』

juriano2014-03-26

旅先にも持って行った塚田努氏の
『だから山谷はやめられねえ−「僕」が日雇い労働者だった180日』
幻冬舎アウトロー文庫)読了。


決して日雇い労働の手引きではない。
著者はごく普通の大学生だが
企業に帰属するだけの就職活動に疑問を抱き
山谷のゲストハウスに身を投じて飯場生活も体験。
職人にもならず、未熟練工として糊口をしのぐ
山谷の労働者たちとの交流を描いている。
ノンフィクションの名著。


最終的に結論を導き出せないところが
読み手としてはモヤモヤした読後感も残るが、
嘘がなくて良いと思った。
ノンフィクションは既成の価値観を持ち出して
余計な意味づけをするよりも
対象を直視してただ圧倒されるという作品のほうが
取材姿勢として正しいと思う。
既存の世界観をぶっ壊されて取材者が
精神フルボッコになるのが望ましい。