能楽鑑賞会。

うちの東洋大学ムーミンばかりが能じゃない。
日本文学文化学科主催で能を無料で観賞するという
素敵イベントを催しました。
普通に能楽堂で見ようとすると高いんだよね〜能。
一万とか普通に取るんで行けねえなあって訳だったんですが(貧乏)
いい機会に恵まれました。
しかも一般参加OK!
元をとるべく彼女連れて行きました。(貧乏性)


能の本質は世阿弥の言うように「花」にあります。
刹那的に咲いてくる花を愛でようというココロです。
宇宙の営みからすればほんの一瞬に過ぎない我々の生の、
偶然の生み出す出会い、そして別れ、その儚さと美しさを
喜ぼうという精神です。
俺が語ると非常にインチキ臭いわけですが、そんなことを
淡々と語るシテの方の説得力といったら、序盤から
唸らされました。
学生モデルを使った能面や衣装の実際の着付け、
お囃子に使う楽器の説明など、普段は絶対に見れない
レアな講釈をつけてもらえて目から鱗ぽろぽろ。


最後は『羽衣』の後半部を実際に演じてもらいました。
仮設舞台は通常の能楽堂よりも観客との距離が近く、
前から3列目に座っていたこともあり、発せられている
気迫に圧倒される。
次第に眼前に浮かんでくる三保の松原
ああ、能は空間を作ってるんだ。想像力の芸術だ。
リアルな表現じゃないけど、現実よりももっと素敵な虚構だ。
男性の演じる虚構の天女、能面自体に表情はないけれど、
動作がすべてを物語るんだ。
地謡座の謳は言葉としては耳に入ってこず、心地よい
不協和音を成して舞台と調和する。
う〜ん、この感じ、世智辛い生活の中で歪んだ感覚が
ほぐされていく感じは村八分を聴いている感覚と
どこか似ている。
日本人の美意識なんだろうか。
現代人の自分には少々冗漫すぎて途中眠くもなりましたが、
なかなか良い体験をしました。