フローランス・ミアイユ来日展@アートスペース・サンカイビ。

juriano2006-09-11

http://www.sankaibi.com/
フローランス・ミアイユという人を全く知らなかったけれど、
「絵画が動き出す」というチラシがよかったので行ってきた。


街中にあるギャラリーは想像以上にこじんまりとした空間で、
原画が数点展示(販売)してあるのとともに、DVDで映像作品を
観せてもらえる。
お客は、最初にいた一人が帰ってからほかに誰もいなくなってしまった。
入場無料なのにお茶まで淹れてもらいつつ、ステキな雰囲気の
お姉さんにこの作家についてたっぷりレクチャーを
してもらえた。素晴らしい。


フローランス・ミアイユはフランスで活動をする
アートアニメーション作家。
彼女の手法は、背景画の上に絵を描いてはコマ撮りし、
消してはまた描いて撮るを繰り返すという、途方もないやり方。
(最新作「カルチェ物語」では1秒間に24コマ描いているとのこと)
前に描いた動きをしっかり記憶していないと描けないし、
当然人体の動きも熟知していないとできない。


最新作の「カルチェ物語」から遡って、
自分の「絵」を動かしたいという衝動で作り上げた処女作「ハマム」
まで、過去の作品を全部観せてもらってしまった。
「シエラザード」「片目乞食僧になった王子」は
アラビアンナイトをモチーフにしていて、
千夜一夜物語の生まれた由来の知られざる話。
残酷描写や性的な表現もかなり出てくるんだけど、
全部がありのままに許容されて描かれるのが特徴。
そのあたりがとても美しいと思った。


「ハマム」や「ある8月の第1日曜日」はストーリーらしきものが
あまりない群像劇。「カルチェ物語」もこっちに近い。
純粋に感覚的に観れる分、こっちのほうが分かりやすい。
子どもの頃に思い描くような、または夢のなかのような世界観で、
無意識に訴えてくる感じが強い。
街中に溢れる広告も無意味にセクシャルで、誇張されている。
彼女の主観を通して歪められた世界が心地いい。


まだ日本ではソフト化していないらしいけど来年あたりを
検討しているらしい。楽しみだ。