あんどぅとろわ。その1

juriano2008-05-12

中学以来の心の友であるへりはらさんが結婚した。
彼とは中2、中3と同じクラスだったが
僕が彼を美術部に勧誘したことをきっかけに
親しくなった。
彼はビートルズフリークだった僕に
ツェッペリンエアロスミスニルヴァーナ
教えてくれた音楽の師匠でもある。
ゆらゆら帝国だって彼に教えてもらわなかったら、
出会うのがもっと遅かったと思う。


音楽理論の基礎も彼に手ほどきしてもらった。
そして彼のギターの腕前はすばらしく、
後追いで始めた僕は到底足元にも及ばなかった。
彼の弾く魂のこもったブルースのアドリブを
ただアコガレをもって眺めていた。
そんな彼は大学時代にジャズに転向してから
あのすばらしかったギターを捨てて
サックスに専念するようになった。
はるか遠くに行かれてしまった気がした。


常に飄々としているようでいながら、
超人的なバイタリティを発揮する彼は、
あらかじめ敷かれた社会のレールに反発して
ふてくされてしまった僕を尻目に、
東京理科大、大学院とエリートコースを
進んで特許庁に入った。
そして、あれだけ音楽を愛していながら、
音楽だけにならず、グチひとつこぼさずに
仕事もバリバリこなして、
見事に両立させてしまうのだ。
それでいて彼はいつでもニコニコと穏やかだ。
到底真似できない。
めちゃくちゃカッコイイやつ。


そんな彼が結婚すると聞いたのが
去年の美術部忘年会。
フィアンセを連れてのサプライズだった。
衝撃を受けつつも、彼のために何かしたいと思った。
それは僕だけでなく、美術部連中の皆が思った。


それで始まったのが、あんどぅとろわというバンド。
新郎を祝うために結成したバンド。
しかし、加治郎さんは大学時代軽音サークルで
歌っていたからボーカルで問題ないとしても、
美術部で、まがりなりにも楽器が弾けるのが
僕と疾風君くらい。
それでも、何とかフルバンドで祝ってあげようよと
この企画は始まった。
疾風君はドラムが本領だけど、弦楽器できる人が
ほかにいないため、ベースに。
ドラムは、数回叩いたことがあるだけの髭虫。
ぜひともフロントに立たせたかった
サディーはタンバリンに。
新郎や身内にしか通じないけど、奇跡的メンバー。


メンツだけでもう充分に、勝ち!という感じなんだけど
結婚式は5月10日に迫っているから、
そうも言っておられず、3月末に加治郎さんと
両国で朝までサシ呑みしながら、選曲を決めた。
「I Saw Her Standing There」「Money」
「Obladi Oblada」のビートルズナンバー。


4月に入ってから初回セッション。
最初はガタガタで、大丈夫かなーと思ったけど、
回を重ねるごとにめきめき上達していく。
普段音楽をしていない人も、それぞれ
自分なりに研究してくる。カッコイイ。
「お祝いをしたい」というピュアな動機で、
こんなにモチベーションが高まっていることに
練習の時点ですっかり感動させられてしまった。
皆忙しい合間を縫って、残り時間がない中を
てんぱりつつ。


1曲くらい超ベタな結婚式っぽいやつを、
というのでGLAYの「BELOVED」も
(ちなみに新郎が学生時代むりやり手伝わされた
経験あり)候補に挙がったが、
あまりにサマにならぬのでお蔵入り。
プレスリーの「Can't Help Falling in Love」
Stray Catsバージョン)を最後に増やした。
ギターが1本なので、間奏がどーにもならず、
バッキング風ソロを試みるも、イマイチ
間が空いてしまう。
「う〜ん」と悩んだ末、じゃあここで
祝辞を言えばイイじゃん!ということになり、
この曲がやっと完結した。
GW中も2日を費し、計5回の練習を経て
まだまだ不安の余地を残しつつ、本番に
臨むことになった。


結婚式2日前、新郎よりTEL。
披露宴でインタビューされる人に指名しといたとのこと。
「しかし、いよいよだね〜頑張ってよ」
「うん、演奏本当にやってくれるの?何やるの?」
「うーん、それは言えないよ。きっと君の好きな曲だよ。
じゃあ、てんぱっている姿を楽しみにしているから」


(長くなってきたのでつづく。)