あんどぅとろわ。その2

juriano2008-05-13

(その1)
http://d.hatena.ne.jp/juriano/20080512


結婚式当日、雨そぼ降るなか、スーツを着て
ギターを担ぎ、マルチエフェクターを抱え、
傘をさしてとハードな出で立ちで会場へ。


ちなみに、ギターは何を持っていくか
練習中からずっと悩みまくっていた。
タンバリンがいるし、アコギのが賑やかな
感じを出せるけどソロが一層しょぼくなる。
二次会会場に置いてあるアンプが不明なので
幅広くフォローの効くと思しきセミアコにしようと
思ったけど、僕の持っているヤマハはペグが甘くて
チューニングに神経尖らせなくては
ならないため、前日夜中に気が変わって
結局ストラトにした。
マア結果的には、取り越し苦労だったと後で実感した。
ラブレターは鉛筆で書こうと万年筆で書こうと
気持ちは通じるってアラーキーも言ってますし。


会場のメルパルク東京
そんなに大勢は呼んでいなかったようだけど、
それでも会場にはなつかしい人たちが。
相変わらずという感じでよかった。
披露宴会場入り口には、新郎新婦をモデルにした
カッコイイ絵画が。
美大卒の新婦の知り合いの筆によるものらしい。
クリエイティブの素晴らしさはこういうときに
本領を発揮するのかもしれない。
これは本人たちもきっとスゲエ嬉しいと思う。


そして教会風のフロアで挙式。
人前式というやつで、宗教儀式の決まりに
捉われないフリースタイルの式らしい。
と、牧師が説明していた。
悪くないなと思った。
そして和装の新郎登場。
さすがに緊張した面持ちだけど、いつもながらの
彼なので、笑ってしまった。
その後、和装の新婦が登場。
輝いたオーラを放っていて、
「ああ、結婚式なんだー」と今さらに実感。
誓いの言葉、二人とも気持ちがこもっていて
コチラも厳粛な気持ちに思わずなった。
誓約書に署名。
そしてリングリレーというものを初めて知った。
ゲストの手を通して結婚指輪を二人の手に
届けるという演出らしい。
途中、あろうことか指輪が落下するハプニングも
含め、バタバタ感が彼らしくてよかった。
よくないけど。
そしてフラワーシャワーを浴びつつ
退場する二人。


披露宴までの待ち時間、すでに酒が振舞われていて
水割りを呑みながら久々のマサーシーと
ぼつりぼつり喋ったり。
披露宴の席は見事に美術部だけで固められており、
はたから見てひどい光景だった。
男子校オーラっていくつになっても発揮されんのね。
うちらのテーブルからだけ、紫煙が漂ってんのね。
ヒデエの。
披露宴は、やたら悪ノリした司会者のテンションのせいか
エンターテイメント精神に溢れていた。
新郎新婦の思い出アルバムって定番みたいだけど
これってメチャクチャ恥ずかしいね。
観てるほうはスゲエ楽しいけど。
写真のチョイスが新郎のセンスでいかしていた。


途中、BGMでLED ZEPPELIN「D'yer Mak'er」が
掛かって、めちゃくちゃ嬉しかった。
僕があまりウヒョウヒョ言っているので、
疾風君につっこまれてしまったが、
だって、この曲は彼が中学生のころから
ずーっと愛し続けてきた曲なのだ。
そして僕も大好きな曲だ。
つい1年前、久々にサシで遊んだときに
交わした音楽談義を思い出す。
ジャズ浸けの今でもツェッペリンは普通に聴く
というので、「じゃ『聖なる館』のレゲエっぽい曲…」
「あ〜、あれはもう大好き。めっちゃ幸せな
気分になるわ〜」「同感!」
みたいな会話を交わしたっけ。
彼のHAPPINESSの象徴みたいな曲なんだと思う。
まさにこの日にふさわしい。わかるよと思った。


そしてインタビューは。。。
何を聞かれたかも何を口走ったかもいまいち覚えてない。
とりあえず僕はこーゆーの駄目なんだなということを
再認識しただけ。なっさけないねぇ。
いーけどね別に。
お酒ばっかりパカパカ呑んでて
腹がふくれて完食できないだめな大人が僕を含め数人。


途中、へりはらさんサックス+ウッドベース+ピアノの
演奏もあり。皆緊張してたけど上手なので
あんどうとろわの面々が臆していた。
うーんかっこいいな。


最後、新婦が新婦のご両親に向けて手紙を朗読。
内容は書かないけど、めちゃくちゃ純粋で
透き通った子だってことがすごくわかってよかった。
うっかりもらい半泣ききた。


披露宴終了、そして退場曲が流れたのだが、
これが演奏予定の「Obladi Oblada」の
替え歌カヴァーだったので爆笑した。
MCのときに言わなきゃねーと話す。
披露宴も終わり、出口に向かう途中でこれまた
久々のよっちろー氏が、僕の脇で
虚空を見つめながらぼつり。
「ほんとうに結婚しちゃったねえ…」


披露宴は2時45分で終了。
リハを3時30分に控えているあんどぅとろわの僕らに
悠長にしてる時間はない。
クロークに預けた楽器類を受け取って、
2次会会場、六本木のサテンドールへ。
バンドメンバー以外の美術部員も暇なので
そのまま2次会会場へ行くことに。
ベイダーはファッキン仕事で抜けてしまい、残念。
雨も一向にやんでいなかったので、
会場まで、2台に分かれてタクって行くことに。


到着したら3時30分ジャスト。
一番乗りで、まだ二次会幹事のT氏も着いてなかった。
幹事不在と放置気味の店スタッフとの対峙で
ヘンな気まずさが漂う。
とりあえず、荷物を奥の物置スペースに
ぶちこみ、なんとなく準備しつつ幹事を待つ。
そのうちT氏現れ、よろしくっすってことでリハ開始。


JAZZ CHOLUSとかを想像してたけど、
よくわからんアンプ。
ツマミ適当にいじってみると、ストラトでも
案外丸めの音が出せたので少しほっとする。
ドラムのセッティングがナカナカできず難儀。
だらっだらしてるうちにリハの方々も結構
到着してきて、焦る。
もー、とりあえずやっちゃえ的に演奏。
やったらやったで気持ちEわけですけど、
みんな慣れないセッティングにテンパり気味。
僕も何だかテンパった。
だけど、眺めてくれてた知らん人から
温かい拍手があってありがたし。
そして一通り流して、終了。
最初はジャケットを着ていようと思ったけど
あまりにくそ暑いので脱いだ。


リハってるほかの人たちをぼんやり見つめながら、
6時の二次会開始までの長い長い時間が始まった。
途中、頃合を見て全体の音量を調整したり、色々。
背もたれのない椅子に延々座っていたら
腰が痛くなってきた。


5時半の受付開始から徐々に人が増えてきて
気づくと7、80人はいてビビる。
披露宴には来れなかったかぼす君とDOJOも到着。
「アー!テンション上がってきたー」
と咆える加治郎さん。
上がりついでに、髪もツンツンに立てる彼と疾風君。
あと、髭虫がイカすサスペンダーを装着してて、
さらに、これ似合うんじゃね?と試しに加治郎さんの
サングラスを着けさせたら、スゲー叩けそうな人が
できあがった。


僕は何やらこれまでにない位緊張してきた。
バンドメンバーもそれぞれに武者震いしてる
感じが伝わってきて面白かった。
呑み放題がすでに呑めたけど、酒は抜いて
コーラにしといた。
演奏前はいつも呑まないようにしてる。
緊張はごまかしちゃいけないよ、多分。
こういう緊張感ってライブ前ならではだなー。


6時を回っても新郎新婦が到着せず、
緊張感がつのる一方。早くやらせてくれ〜と思う。
そして15分頃新郎新婦到着し、二次会開始。
お食事はビュッフェな放置プレー。
とても今は喰う気になれず。
ほかのバンドメンバーも然り。
演奏しない人たちが「わーい」と肉とかパスタとか
がっついているのをボケーと見ていた。
そして、ひと段落を見計らって、幹事T氏の
バンド紹介。
「バンド名は、、、あんどぅとろわ!」
…反応ナシ。
新郎の名前にちなんだ素敵ネーミング無効。


そして入場曲、「さんぽ」。
うける者もおらず、中途半端な気まずさが流れるも、
マア狙い通りってところ。
「さんぽ」流れる中、不機嫌そうにコワモテで登場し、
唐突にI Saw Her Standing Thereを始める狙い也。
演奏中は無心だからよく覚えてないけど、
髭虫がかつてないスピードで始めたので焦りつつ笑った。
あとキンチョーなのか汗なのか、ピッキングの感覚が
とてもヘンで、うぐぐという感じでありました。
けど拍手がものすごく温かかった。
Moneyは自分の中では一番うまくいったかな。
Obladi Obladaもそこそこの出来。
Can't Help Falling in Loveは2小節目から
ハイハットを入れてくるので打ち合わせていたのに
髭虫が叩かないので、1回ストップしてしまった。
やり直したのに髭虫は叩かない。ばかー。
そのまま行くことにする。
問題は、間奏部のサディーの祝辞。
リハのときよく聴こえなかったため、マイクを
もっとくわえこむように皆で言っておいた。
「へりはら君、」と1回目やはり聴こえず、
「へりはら君!!」と絶叫して言い直して笑えた。
「ご結婚おめでとうございます!!!」
間奏中に超拍手。
あー、これはいくら練習しても想定してなかった。
あと何言ってたかよく覚えてないけど、
間奏の終わるぎりぎりのところでしっかり言い切った。
グッジョブ!
そして、終了。
終わった。。。と放心。
ものすごく盛り上がってくれてたし、最高だった。


へりはらさんがステージにやってくる。
彼にまつわる思い出がフラッシュバックする。
かける言葉が浮かばない。
気持ちに言葉が追いつかない。
すると彼も何も言わずに抱きついてきた。
僕もそんな気持ちだった。
ああ、何も言わなくても分かってくれてるし、
分かるわと思って幸せだった。
何かが氷解して、なぜか童心に還る思いがした。


席に戻って、経験したことのない疲労に襲われつつも、
皆とてもハッピーだった。
「これだったら毎日結婚式でいいよ!!」
「うん、でも身が持たないよー」などと言いながら
呑んだくれた。


次のバンドは、へりはらさんの弟、あっくんのバンド。
へりはらさんも参加。
あっくんとは、実は彼が高校1年生の頃に数回呑んだり、
ビリヤードをしたりした記憶がある。
お互いシラフで会った試しがないので、
よく覚えていないだろうけど。
兄たちの影響で、若いくせにすごくいい趣味していた。
ツェッペリンやキングクリムゾンの話をした記憶が
あるけど、かなり深いとこまで理解してた。
すごくセンスのいいやつだったので、
こいつはきっと大物になると直感してた。
長髪に無精ひげの、70年代の国からやってきたような
ぶっ飛んだ見た目になっててアウトロー全開だった。
サックス2本とフルート、ピアノにドラムの編成。
気の狂ったようなユニゾンがちょっと
キングクリムゾン風で、スゲエかっこよかった。


3番目の出し物は、Perfumeのチョコレートディスコを
踊るやつで、リハのときは何かうっとうしいのかなと
思っていたけど、超つきぬけていた。
コスチュームも頑張ってて、偽装ファンとかも
用意してて、すげー盛り上がってた。
僕らのバンドがこれの後でなくてよかった。


4番目は、へりはらさんの同僚のピアノソロ。
5年前に作ったという曲。
それがものすごくよくて、皆軽く嫉妬を覚えるほどでした。
超拍手。


お次は、へりはらさんの上司…って、特許庁って
どうしてこんなに特殊な人たちが集まってるんでしょうね。
ギター借りていいすか、っていうんで快く貸した。
ビートルズの「All You Need Is Love」。
べたすぎるから避けた曲。避けてよかったけど、
なぜかビートルズばっかりだな。
歯笛を吹いてていかしてた。
マイクを借りて「Love,Love,Love」と勝手に
コーラスを入れる。
「All You Need Is Love!」と合唱。イェー。


こんなに出し物目白押しの二次会もそうそうないだろうけど、
ラストはなんと新郎新婦のサックス協演。
へりはらさんの家には組み立て式の防音室が
あるんですが、せっかく環境があるのだからと
新婦もサックスを始めたらしい。スゲエ。
ちゃんとまともに吹いていてカッコイイと思った。
そして、新郎新婦のサックス協演は、
絵的にやばい美しさだった。
かぼす君がこのとき撮った写真の美しさは、
ちょっと正視できないよ。
現し世って感じじゃないもの。
妖艶なムードが漂っていて。。。もう写真を撮るのが
ばかばかしくなってしまうな。


そしてラストに、くじ引き。
入場のときに撮ったポラロイドがくじの代わり。
扇風機とか、ナスの着ぐるみとか、Wiiとか。
美術部こんなに雁首揃えてんのに当たらないのかしらと
思っていたら、最後にDOJOの名前が。
しかしそれは、「この後、新婦から新郎に向けて
手紙の朗読があります」と言う権利だった。爆笑。


そして、新婦の告白。
へりはらさんのよさを100%理解しているのが分かってよかった。
何も言わないのに、気づけば洗濯物が取り込んであったり
「空気のようなやさしさ」を言っていた。
それに甘んじないで、ちゃんと理解してあげられる
女性っていいなと思った。
へりはらさんはほとんど半泣きだった。
本当にいい人を見つけたよな〜。


新婦のすばらしい告白に、へりはらさんコールが起こる。
すると、「じつは。。。」と言って懐から紙切れを
取り出す彼。ちゃんと準備していた。
すごくピュアに愛し合っているお二人でした。
美しいとしか言いようがなかった。


そして解散。
「最高だな〜。今死んでもいいよね」
などと言いながら帰途。
美術部の皆で新宿に移動して3次会。
朝まで、ってなテンションではあったが、
今はただハッピーなまま泥のように寝たかった。
終電で帰り、ぶっ倒れるように寝る。
彼に負けぬよう頑張らねばなと、何か思うのでした。