会田誠「青春と変態」。

juriano2014-01-27

昨晩、会田誠の小説「青春と変態」を遅まきながら
ちくま文庫で読み始めたら一気読みしてしまった。
なぜかモノスゴク打ちのめされた気分になり
その後全然眠れなかった。
「絵描きが書いたからってナメてかかると
ケガをする!」と帯にもしっかり書いてあるのに
多分油断して読んでしまったのだと思う。
傑作だった。


「トイレ覗き」の密かな変態趣味を持つ高校2年生の
会田誠少年が、男女合同の3泊4日のスキー部合宿の
もようを「変態日記」の独白調で綴るという内容。


読み手に本当の体験談なのではと思わせる位の
徹底したリアリズムと緻密な描写が
まさに「読む会田作品」だった。
主人公の名前が著者と同一なのも巧妙な罠で、
「ものすごくよくできた嘘」だと思う。


変態野郎に最初は距離を覚えても、
次第に読み手が共犯者になってしまう
説得力がすごい。
そしてエンターテイメントであると共に
批評性もしっかり滑り込ませている。
それは会田作品そのもの。
画家の手慰みではなくて、一貫して
どこを切り取っても会田誠なのが素晴らしく、
素晴らしすぎて大いに不眠になった。
氏が本作を執筆したのは27、8歳の頃らしい。
うーん。確かに天才だわそりゃ。