福満しげゆき。

『アックス』誌でおなじみの漫画家。
『僕の小規模な失敗』でノックアウトされて以来
はまっています。


『僕の小規模な失敗』はほぼノンフィクションの
自伝的漫画で、裏『まんが道』といった内容。
この人は自分のドロドロした面とか、普通の人が
他人には見せたくないような性癖の部分を
爽やかに相対化する感覚に長けていて、
巧みに独特のギャグにしてしまう。
つげ義春ほど観念的にならないし、山田花子ほど
痛々しさを感じさせない。
カルトな漫画家と見せかけて、案外間口は
広いんだと思います。


でも実をいうと、『僕の小規模な失敗』は
痛くて痛くて仕方ねいです。
これオレの話じゃんという気がしてならない。
学校に全く馴染まない感じや、高校中退や、
モテない感じとか、ドーテーな感じ。
女で身を滅ぼしそうになる感じ…とにかくこの
ダメ人間ぶりが他人事と思えない。
そしてこういう体験をしっかり作品にしてしまう
ところに嫉妬を覚える。
やりたかったことやられちゃってる、という。
ぜひ、身につまされたい人は読んで戴きたい。


あ、でも最初は短編集の『カワイコちゃんを二度見る』を
お勧めします。普通に面白いから。
「肉体労働にまつわる夢の話」とか良い。
家に帰ると同棲してる女の子がヘンな黒いオヤジに
犯されてるという、ただそれだけの話なんだけど。
「必殺するめ固め」なんだけど。
つげの夢モチーフの漫画にも通じる、無意識に
訴えるような感覚をこの人は持っていて、そこが
すごくいいなあと思います。
あと、福満作品に出てくる女の子はやたらかわいいです。
胸がでかくていいです。