笠辺哲『フライング・ガール』

juriano2007-01-18

最近嬉しかったことといえば
笠辺哲『フライング・ガール』2巻が刊行されたことで、
悲しかったことといえば
2巻で完結してしまったことであります。
あー。もっと読みたかったのに。


この人の才能は本物であります。
この人の漫画がウケないのでは日本の漫画なんて
もはやダメダメであります。
と思うほど初めて読んだ短編集『バニーズ』は
ワタクシにとってキョーレツでありました。


この人の作品はパッと見フツーで、絵柄も
親しみやすいんですが、読み進めるうちに
なんてオソロシイ人だろうと思った。
非常にしたたかに、フツーの漫画を描いている
ように思えるからだ。
底が全然見えない。


若手作家にありがちなタイプを二分類すると
自意識を垂れ流すか、そもそも自分とは全く関係ない
幻想を垂れ流すかに分けられると思われます。
ワタクシ的にはこの両者はあまりオソロシクない。
かつ、あまり好きではない。
一方では、この自意識と作品との距離感の掴み方が
いかに難かしいか、情けなくも身をもって理解できる。
だからこそ、笠辺哲の作品に唸らされてしまう。
新人っていうけど本当はこの人幾つなんだ?と思う。


何だかコムズカシイことを言っているようですが、
コムズカシクないのがこの人の作品のスゴイところなので
是非一読してください。
歪んだり荒んだりしている作家が多いなかで
極めてピュアでシンプルでストレートに泣かされます。
(ほんとに泣けます)
まずは『バニーズ』でガツンとやられてほしいところです。


http://www.ikki-para.com/tameshiyomi.html#
↑ここで試し読みできるようです