ジョージ秋山「銭ゲバ」

juriano2009-09-02

実のところドラマ版も一切観てませんが
気になっていた原作マンガを
千駄木のいかす古本屋で文庫本上下735円也で購入。
今更だけど、めちゃくちゃ面白かった。
一気に読んだ。


金がなく医者に診せることができなかったために
死んでしまった病気の母親。
「銭がなかったから母ちゃんは死んだズラ!
銭がほしいズラ!」
と、世話になっていた隣の兄ちゃんを
金目当てで殺してしまったことをきっかけに
銭に魂を売った主人公、蒲郡風太郎。


ケダモノ呼ばわりされながらも
「世の中銭ズラ!」と悪業の限りを尽くす
極端な生きざまが痛快すぎる。
そして時折見え隠れる、人間的な素顔。
金では買えない「たったひとつの真実」を
密かに追いかけるも、あっけなく裏切られ
一層歪んでいく主人公。


純真無垢な幼少時代から描いているのが
とてもいいと思う。
金の亡者もなるべくしてなっているところを
きちんと描いているから、
簡単に人を殺しまくるわ、
金目当てに結婚した奥さんに
「裸になれ!」と命じた挙げ句
「俺はみにくいものは嫌いズラ!!」と罵り
ブン殴るわ、エグイ描写満載だけど
主人公の孤独に共感もするし、痛快ですらある。
そして水俣病など当時の世相を映した社会派。
ジョージ秋山、天才!名作。